SSブログ

「オペラ座の怪人」に惑う・『Kissの威力~閑話休題 その10』

Kissは霊感を与え、人を生き還らせ、愛を気づかせるもの。
(子宮と卵巣の経絡もございますので、美しくなるにはまずkissを。)

黒い衣装から白い花嫁衣裳に着替えたクリスティーヌに指輪を握らせ、
仮面を与えた母を責めながらベールをかぶせるファントム。
神に背きつつ、聖母に擬した装いを。
母なきファントムは聖母の姿をクリスティーヌに求めているのでしょう。

けれどこの行動は、自分を虐げ続けた人々がしたのと同じことを
愛しているはずの者にもほどこしてしまう悲しみの連鎖。
クリスティーヌはすぐにベールを外し、さとします。

Christine:
This haunted face holds no horror for me now
It’s in your soul that the true distortion lies

“Down Once More/Track Down This Murderer”

「悪夢のようによじれた顔も もう私には恐くないわ。
 本当に歪んでいるものは あなたの魂に巣食っているのよ。」

この言葉を受けても、やってきたラウルの首に縄をかけ、
闇で共に生きることをクリスティーヌに迫るファントムは
旧約聖書にある十戒を、これでもかと破っているかのよう。

私以外のなにものも神としてはならない。
偶像をつくってはならない。
主の名をみだりにとなえてはならない。
週に一度は休日としなさい。
父母を敬いなさい。
何をも殺してはならない。
姦淫してはならない。
盗みをはたらいてはならない。
隣人のことを偽証してはならない。
他人の物を我が物顔で扱ってはならない。

不完全なものが人間。
知らぬ間に犯している罪を明文化したのが十戒。
自分が絶対で、完全であるようにふるまうのは神に反することなのだそう。

全ては天から与えられたものと常に意識し、それぞれの才能をより高め、
人々にシェアすることが人間のつとめ。
日々の生活も、欲望も、身のうち心のうちに起こること全てを認め、
味わいつくすこと。

ジーザスは娼婦であったマグダラのマリアをそばに置いたとされます。
香油を塗るなど献身につとめ、すべてを看取り、復活を見届けた
マグダラのマリアは、聖母マリアにも通じる母性の象徴。

陽の光も、blood&fleshたる人間の情動も、醜さは誰もが持つということにも
目を背け続けたファントム。
彼を最後に動かしたのは、ベールをいったんは拒否したクリスティーヌの行動。

Christine:
Pitiful creature of darkness,
What kind of life have you known?
God give me courage to show you,
You are not alone...
(Kisses Phantom)

 “Down Once More/Track Down This Murderer”

「闇に生きる哀れな創造物、
 人生の何を あなたは知っていると言うの?
 神はあなたに教える勇気を 私にくださったわ。
 あなたは ひとりではないのよ。」

地獄を見、地獄を生きたものをも含めて、神は人間を救い給う。

血も肉も、両方通っての愛。
ファントムの全てを受け入れたマダム・ジリーの教え子、クリスティーヌは
kissというもっとも血を通わせた肉を持って愛を示しました。

自らを省みぬ血の通った献身を受け、初めてファントムは
彼女を手放すことができたのでしょう。

☆初めて、ジェラルド・バトラー出演「ドラキュリア」を鑑賞したときは、
先日書いた日記「オペラ座の怪人9」とのあまりのシンクロに驚き、
何故、彼が選ばれたかもよくわかったような気がしました。
ジェラルド・ファントムに惑われた方、よろしかったらご覧下さいね。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。