「オペラ座の怪人に惑う・ミュージカル鑑賞1・舞台と映画 閑話休題その17」
映画公開一周年を記念して、舞台を鑑賞。
初演を見逃してから十数年、映画を十数回鑑賞後での舞台はまた興味深く。
映画と舞台の違いなどを挙げつつ、考えてみましたので、
よろしかったらご覧くださいませ。
「最初のオークションシーン」
あの有名なシャンデリア登場。
舞台のシャンデリア、これは古びた感じをわざと出した美術とのこと。
毎舞台で落さなくてはならないので、きっと軽く、丈夫に作られているのでしょう。
映画では豪華絢爛なスワロフスキークリスタルのシャンデリア。
目を奪われてしまうのは、やはり映画の方ですね。
「ハンニバルの練習とクリスティーヌの楽屋」
ラウルが練習中には登場しない舞台。
カルロッタの代わりに歌ったクリスティーヌに気づいたラウルが
花ではなく、ワインボトルを抱えて楽屋に入っていっても、
最初は思い出してもらえない。
映画では練習中にラウルを見つけても、素通りされてしまうクリスティーヌは
楽屋に入ってきた彼を喜んで迎えます。
映画と舞台では二人の立場が反対になっているのですね。
また、クリスティーヌのデビューを讃えるファントムからの贈り物も、
映画の赤薔薇ではなく、手紙。
ついでに、前の支配人が向うのは、オーストラリアではなくフランクフルト。
「地下道&隠れ家」
舞台の地下道では馬は使われていません。
クリスティーヌの体に直接、手を這わせるファントム。
このあと、花嫁人形が突然動くことで、クリスティーヌは気絶します。
作曲中のファントムが着ているのは、中華風の帽子と衣装。
舞台のファントムは自信家で、クリスティーヌに対してかなり強引で直接的。
触れたくても触れられない、手を差し伸べつつも、クリスティーヌが自ら触れて
ようやく進んでゆける臆病にも近い繊細さ、
相手の顔色を見つめ、確かめながら歌い上げる、
芸術家同志の火花舞う邂逅、
彼女の手を取って間接的に体のラインをなぞる
奥ゆかしくも強烈なセクシーさ。
こちらはクローズアップを使える映画ならではの演出で、
触覚さえも喚起されます。
「オペラ座の屋上」
クリスティーヌのマントは青。(映画では赤)
彼女の裏切りに逆上したファントムは、舞台上にシャンデリアを落して高笑い、
ここで幕間に入ります。
実際に客席すれすれまで降下してゆく様子は必見。
シャンデリアが落ちる効果は、「ベルばら」などにも使われていますが、
とてもドラマティック。
映画ではラスト近くにもっていくという演出が効果的でした。
「マダム・ジリーの告白」
舞台では、見世物小屋にいたファントムは、発明家でマジシャンで
ペルシャ王のために鏡の間を作った建築家として、英雄的扱いだったのに、
なぜか脱走、オペラ座の地下に数年前から住むことになったとのこと。
映画では、見世物として扱われていたファントムの少年時代を描き、
マダム・ジリーが手を取って彼をオペラ座に連れてきたことに。
自信家のファントムを裏書する舞台、幼き日のトラウマまで遡って描く映画、
どちらも面白いですね。
☆名訳といわれる浅利慶太氏の歌詞を愉しもうとしたのですが、はじめのうちは
何百回と聴いているサントラに、頭の中で変換されてしまいました。
続きます。
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