SSブログ

オペラ座の怪人に惑う・閑話休題その16「夫と鑑賞」

ミュージカル食わず嫌いの夫とともに、「オペラ座の怪人」の
再上映を拝見しました。

「初めての『オペラ座の怪人』はどうだったかしら?」

「面白かったよ。ちゃんと最後まで観ていただけでもわかるよね。
つまらない映画だったら、特にオールナイトで観る場合は即、
眠ってしまうことにしているんだから。」

「誰が一番気に入った?」

「クリスティーヌ。歌が上手いね。」

「演じたエミィ・ロッサムは絶対音感があるということで、
幼いときからオペラの舞台にも出演していたみたいよ。」

「他の映画には出ていないの?」

「彼女は映画に出演したとき、まだ16歳だったから、これからというところね。
ファントムの人はアンジェリーナ・ジョリーの相手役をしているわよ。
ラウルはどうだった?」

「彼は、いい奴だよ。」

「ファントムは?」

「うーん、悪い奴。クリスティーヌを脅して脅して無理やり連れ去って。」

「ファントムはああいう愛の表現しかできない人なんだもの。
見世物にされていたことでもわかるでしょう?」

「ところで、あの最初と最後にでてきた老人ってラウルなんだよね?」

「そうよ。そして向かいにいたのがマダム・ジリー。
彼女、ラウルより20歳位上だけれど、最後のシーンでは若く見えるでしょう?」

「ラウルの方は車椅子にのっていたしね。」

「バレエを続けている人は綺麗だし、たぶん見世物小屋から
ファントムを助けて以来、長い間一緒にいたからだと思うの。
今夜観て思ったのだけど、鏡を壊した向こう側にある通路って、
ダーエ家のお墓に通じていて、
そこでファントムを待っていたのじゃないかしら?」

「そうそう、彼女は最後の地下のシーンに出てこないよね。
お墓といえば、クリスティーヌはいくつまで生きたの?
墓石に書いてあったみたいだけど。」

「1854年から1917年となっているから、63歳くらいかな。
映画は1919年のラウルの追想という形でもあるの。
クリスティーヌがいなくなって、多分第一次世界大戦で
子供をなくしたのではないかとも思うんだけれど、
ラウルは生きる気力を失ったのね。」

「クリスティーヌはどうして、仮面を剥ぎ取ったのかな?」

「たくさんの方がそのことに疑問を持つみたい。
特に原作やこれまで作られたどの映画よりも、今回のファントムは美しいから、
どうしてクリスティーヌがラウルを選んだのかしらとか。」

「それはその方がいいよ、幸せになれるから。」

「愛と恋の違いかしら。橋の上でクリスティーヌが
ハッと気づくシーンがあるでしょう。」

「ラウルと同じ歌を歌うところだね。」

「そうそう。同じ歌だけれど、ラウルはneed me,ファントムはwant me,と
歌っているの。愛し守る存在になろうとするラウルと、
欲望の対象としての表現しかできないファントム。
クリスティーヌは、ファントムが歌っているときは
いつも魔法にかけられたようになっていたでしょう?」

「ぼうっとしてふらふらと着いて行くよね。」

「それが、want me,と耳に入ったことで、
初めて歌の魔法が解けてしまったのじゃないかしら。
同時に仮面という美醜を覆い隠す魔法のアイテムを剥し取ることを思い出した、
きっとこれは事前にラウルと打ち合わせていたのだと思うの。
橋の近くまで警官が銃を持って迫っていたから、それを合図にクリスティーヌが
ファントムから離れたのを見計らって撃つ予定になっていたのかなって。」

「シャンデリアが落ちるところも凄かったね。」

「仮面を剥されようと剥されまいと、ファントムはああしてクリスティーヌを
連れ去る計画をしていたと思うの。
ただ、最初に地下に連れて行ったときも、墓地でも、
ファントムは誘うだけで、クリスティーヌは自ら近づいていっているのに、
素顔を皆に曝してしまったあとは魔法が解けて、あなたが言ったように
脅して脅して無理やり連れ去る形になり、
どんどん嫌われるようなことになってしまう。」

「あそこまで、醜く素顔を見せなくてもいいと思ったよ。」

「それが映画の醍醐味ね。」

「ところで、映画の途中で、一緒に歌っていなかった?」

「声は出していないけれど、つい合わせてしまうの。
客席にいらした他の方々も、心の中で歌っていらしたのではないかしら?」

「どうしてわかるの?」

「最後の音楽が終わるまで席を立つ人がほとんどいなかったでしょう?」

「たしかにそうだったね。」

「何度も何度も観ている方が多かったと思うの。
パンフレットも皆さん持っていらっしゃるから買っている人はいなかったわ。
半年間、再上映を待ち望んでいらしたのよ。」

「まあとにかく観てよかったよ。」

「ありがとう。」

「♪~」

「Think of me~♪」

「~~*○▽%♪」

「? ! ・・・ざわわ、ざわわ♪、素敵な歌だけれど、
それは『さとうきび畑(森山良子さん)』☆」

拙き戯れ事を読んでいただき、ありがとうございました☆
共に鑑賞してくれた夫と、愉しき時を与えてくれた
ファントムと皆さまに感謝いたします。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。