「オペラ座の怪人」に惑う『薔薇の騎士~閑話休題15』
映画に登場する舞台・「イルムート」に似通うオペラに
「薔薇の騎士」という作品があるそう。
心ひかれる題名です。
【薔薇の騎士】
元帥の妻マリー・テレーズは、愛人・オクタヴィアン伯爵と一夜を過ごす。
翌朝、元帥が帰宅したと勘違いしたオクタヴィアンは、
小間使い・マリアンデルに変装したが、入ってきたのは
マリー・テレーズの親せき・オックス男爵。
彼は婚約者であるゾフィーに銀のバラを届けるべく、
「薔薇の騎士」への仲介をマリー・テレーズに依頼したところ、
彼女はマリアンデルがその「薔薇の騎士」と偽る。
オックス男爵は不粋な男で、婚約の日にもゾフィーに恥をかかせたので
彼女は「バラの騎士」に助けを求めるうちに、二人は互いに魅せられてゆく。
マリアンデルはオックス男爵に誘惑の手紙を出し、それに応じた男爵が
不埒な男であることをゾフィーとその親の前で暴いてしまう。
婚約を破棄したゾフィーと元の姿に戻ったオクタヴィアン伯爵が
惹かれ合う様子をみて、マリー・ルイーズも引き際を決め、
二人を祝福し、大団円。
爛熟期を迎えていた頃のパリ・オペラ座。
ファントムが要求したクリスティーヌにふさわしい役とは、
マリー・テレーズのような酸いも甘いも噛み分けた女性だったのかも。
☆もしこの「薔薇の騎士」が「イルムート」のモデルだったとしたら
この直後の屋上のシーン場面を考えても、ファントムにとっては
かなり皮肉な作品なのでは?
「イル・ムート」はむしろ、「フィガロの結婚」に似ていませんか?
「フィガロ」と「薔薇の騎士」がつながっている・・・という説も。
両方とも好きなオペラです。
でも「イル・ムート」はなんだか滑稽で、クリスティーヌはむしろズボン役のままの方が人の心を惹きつけるような気がします。
by Cecilia (2005-12-04 12:05)
こんにちは。
はい、ALWは当時よくみられるところの「艶笑オペラ」を念頭にしていたそうで、
イメージとしてはきっと「フィガロの結婚」が一番強かったと思います。
オペラ座という場所そのものが、貴族や有力者が妻と娘と愛人を同席させて皆に披露するという社交場だったそうですので、舞台上で繰り広げられているシーンはそのまま、観客席の人々にとってどこか身に覚えのある出来事であり、またそういった作品を笑って鑑賞できることそのものが、上流社会の方々のたしなみでもあったのでしょうね。
クリスティーヌが屋上でラウルと愛を誓い合い、舞台に戻ってあのカルロッタの役をする。
おっしゃるとおり、滑稽ですね。
ファントムの心情を思えば、哀しいほどに。
by ayakawa (2005-12-06 12:53)